クロムを含有したステンレス鋼は、鉄と比較して非常に錆びにくい性質を持っています。
では、どうしてクロムを含有したステンレス鋼は錆びにくくなるのか知っていますか?
錆が発生する原理を理解すれば、なぜステンレスが錆びにくいのかがわかります。
では、錆が発生するしくみから簡単に学んでいきましょう。
ステンレス鋼はなぜ錆びにくいのか。 錆が発生する原理とは?
錆は、鉄の表面に水分が付着することで発生します。
鉄に水分が付着すると微量の鉄イオンが溶け出し、酸素に触れて酸化を起こします。
これが、錆が発生する原理です。
乾燥した空気中では錆が発生しにくく、湿気の多い空気中で錆が発生しやすい原因は、空気中に含まれた水分量に起因しています。
鉄が錆びるしくみ
鉄の表面に水が触れると微量な鉄イオンが水分中に溶け出します。
水酸化イオンと鉄イオンが結合し、白色や緑色をした「水酸化第一鉄」が発生します。
「水酸化第一鉄」は非常に酸化しやすい物質のため、すぐに酸素と結合し、赤色、赤褐色、黄色「水酸化第二鉄」に変化します。
この「水酸化第二鉄」とよばれる状態が初期の赤錆です。
*「水酸化第二鉄」からも「オキシ水酸化鉄」や「酸化鉄」へと錆は変質していきます。
錆とひとことで言っても、錆には様々なステップがあり非常に複雑な現象が起こっています。
ここでは、簡単に説明するため初期の錆にしぼって説明しています。
ステンレス鋼が錆びにくいしくみ
ステンレス鋼とは、全体の12%以上クロムを含んだ鋼を指している言葉です。
含有成分のクロムが酸素や水と素早く結合することで「酸化皮膜」がステンレス鋼の表面に生成されます。
「酸化皮膜」があることで、ステンレス鋼の表面が膜で覆われた状態となり、鉄と水分が反応できず錆が発生しにくい常態をつくりだしています。
また、ステンレス鋼の表面に傷が付き被膜が破壊された場合でも、内部のクロムと空気がすぐに反応し、新しく「酸化被膜」が生成されるため、常に錆びにくい常態を維持できるのです。
これが、ステンレスが錆びにくいしくみです。
「酸化被膜」とは、酸化反応によって金属表面に生成される厚み数ナノレベルの極薄の膜のことを言います。
目には見えない膜が、錆から守ってくれているんです。
ステンレスはなぜ錆びにくいのかをおさらい
いかがでしたか?
目に見えない極薄の膜「酸化皮膜」があるからこそ、ステンレス鋼は錆びにくいのです。
錆が発生する仕組みをきちんと理解することで、より深くステンレス鋼の特徴が理解できましたね。
錆が発生する原因
・水酸化イオンと鉄イオンが結合し、酸化することで錆が発生する。
ステンレスが錆びにくい理由
・酸化皮膜によって表面がコーティングされた常態になっている。
素材の特性を理解することで、プロダクトデザインのひきだしはどんどん広がります。
ステンレスについてさらに詳しく知りたい方は、この記事も参考にしてみてくださいね。